第26回多賀工業会東京支部総会講演
ライフサイクル・マネジメント(LCM)への挑戦

講師 (株)PFU常勤顧問(前社長)
富士通(株)前専務  広瀬勇二(40学電)
文責:大泉 雅靖(40学精)

  講演要旨:
 大学を卒業し富士通に入社、当時珍しかったSEをスタートにコンピューターの仕事をしてきました。10年ほど前に機械の販売にサービスを加味したトータルコストを長期的に見通せる仕組みとして、また顧客満足を向上させる手段としてライフサイクルマネージメント(LCM)に出会いました。これは富士通の子会社の米国ダラスの会社が提案実行したもので、当時私も富士通の専務として其の会社の役員として係っておりました。この会社は年間430億の売り上げでPOS端末をインターネットで販売し業績を拡大していましたが、NCRやIBMの大手企業が参入し苦戦、存続も危ぶまれる状況になっていました。その折に其の子会社の経営陣からライフサイクルマネージメント(LCM)を提案してきました。性能の良いPOSの販売とコンサル能力を持った営業サービスマンが車に補修品を持ち細やかに対応し顧客満足を向上するとともに、併せてお客様へのトップセールスに成功し事業を拡大し優良企業になりました。

 例えば米国シアトルのノードスローム百貨店(創業1901年の大手老舗200店舗)にPOSシステムを提案したときのことです。当然ライバルのNCR,IBMとの競合になり苦戦しました。ちょうど9・11事件の直後でしたが富士通が保証することを要請されました。当時、富士通では米国出張は止められていましたが、調整し早々私が訪問することで相手のトップに高く評価され採用にこぎつけました。その後契約のお礼に日本の浮世絵を持参した際、私にHIROSE 1のマリナーズのユニホームを用意しておりました。顧客第一主義の老舗百貨店の対応には感心させられました。おかげでダラスの子会社は事業を拡大することが出来ました。

 その後私は2003年にPFU(パナソニック、富士通、内田洋行)(売り上げ1,000億 従業員4,000人 本社石川県宇野気)の社長としてITバブル後の経営を担当することになりました。業務の再編成でスキャナー部門を強化し業務用として優れた紙送りとクリアー技術、さらにフルラインナップで世界のトップ企業となりました。ちょうど9・11事件後でドキュメントの電子化の必要性、エンロン事件や薬害のためにデーターを残すことが義務化されスキャナーの販売が大幅に伸びおかげで業績を伸ばすことが出来ました。当然ここでもライフサイクルマネージメント(LCM)をビジネスモデルとして取り入れたことも成功の要因でした。今年の6月に社長をバトンタッチしました。

  以上が広瀬氏の講演の要旨でした。さすが実務派経営者の講演で臨場感のある話でした。経営のツールとしてのライフサイクルマネージメント(LCM)について理解することが出来ました。

講師の写真 講演会会場の写真


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