第25回山遊会行事
至仏山日帰り登山 報告
2009年7月19日(日)〜20日(月)

文責:兼子 八郎(38学電)
7月19日(日)の22:30発で西新宿から正席20人乗りの中型バス(ツアー形式)で群馬県片品村の鳩待峠に向かったのは(敬称略)、田崎 耕八(32電)=今回のリーダー、矢野 睦男(32原)、青野 潔(41化)、菅谷 禎男(42機)会長、菅谷 隆人(会長のご子息)、佐竹ふみ子(特別会員)及び筆者の7名でした。
今回は夜行バスで出掛けて翌日夜帰着すると言う、一寸見には若者向な(年配者向にはちょっぴりきつい?と思われた)登山でした。
 途中20日1:00頃トイレ休憩の後は黙々と一般道をひた走り、4:00頃目覚めました。

☆ 目覚むれば白み初めたるひんがしの山の端近く金杯の見ゆ
 ☆ あかときの空に明星輝けり今日の晴天確かなるべし

東の空の山際には新月近い28日の下弦の月が昇り、やがて昇ってくる太陽に下から照らされています。その形は薄い金杯の様に見え、その斜め上には明星が大きく輝いて居りました。
山の鼻へ向かって木道を下っている写真
山の鼻へ向かって
木道を下る
 4:25頃尾瀬高原ホテルに着き、ここで予約してあった舞茸ご飯の弁当とお茶を受け取ってまたバスに戻り、鳩待峠(1,591m)には5:15頃の到着となりました。ここでバスに残しておける物を仕分けして山行の準備を整え、5:25尾瀬ヶ原の山の鼻(1,400m)に向けて出発しました。緩い降り坂でオヤマ沢、ワル沢他幾つかの沢が合流し、左手の沢は道の勾配同様に勾配が更に緩くなり、岩がごろごろしている川上の様子を呈してきました。只見川の上流、川上川の誕生です。

☆ 降りゆけば沢水多くいわばしる夜来の雨のはげしかりけむ
 ☆ 澤のみず川上川に集ひきて日本海への旅ぞはじむる
 ☆ この水は幾たび我らに寄与すらむ只見川系水力発電

山の鼻での集合写真
山の鼻にて
山の鼻から至仏山に向かって
至仏山に向かって
1時間ほど歩いて山の鼻にもうすぐと言う所で川上川に掛けられた橋を渡ります。橋のたもとには「一級河川 川上川」と掲示されておりましたが、さもありなん。「国内で1,2の水力発電量を競う、只見川の上流なんだ」と納得しました。
 山の鼻へ6:20に到着し、至仏山荘前で早い朝食をとり、6:45にはいよいよ至仏山への登山開始です。湿原の中の木道を進みますと、ニッコウキスゲが咲き乱れ、その黄色は草木の緑色や白樺の白色に相まって一大パノラマを作り出しておりました。ほどなく湿原は終わり上り坂に入ります。この辺りから湿原での長い板状の滑り止め桟木を付けた道の他、木製の板と丸太で組んだ階段状のものやら、土砂の流出防止用に太い丸太組にしたものなどもありました。

☆ 丸太組階段板の隙間にもジョウシュウアズマギクの花見ゆ

雲に隠れる燧が岳の写真
雲に隠れる燧が岳
木道&岩を登っている写真
一路至仏山へ
頂きを見せる燧が岳の写真
頂きを見せる燧が岳
1時間ほど歩き登ってきた道を振り返ると、尾瀬ヶ原が見えるものの燧ヶ岳の頂上付近には雲がかかっていてよく見えません。ここでゆっくり10分ほど休憩してスタートしましたが、15分ばかり歩いて2度目の休憩(5分間立ち休み)です。筆者が疲れたと言って息をふうふうしている状況を見てのリーダーの暖かい配慮だったと思います。
 中間点(約1,800m)の標識を過ぎてから8:35、3回目の休憩に入り、5分間の立ち休み。所謂樹林帯が終わった辺りで、ここからは先ほどまでかかっていた雲がとれ、燧ヶ岳のてっぺんもよく見え、そよ吹く風がとても爽やかでした。今回は4年前に燧ヶ岳に登ったときのメンバーが5人入っています。その中の一人でもある菅谷会長も懐かしげに頂上に見入っていました。このとき筆者も尾瀬までは来たのですが、足に自信がないと言って尾瀬ヶ原散策組にまわりました。その頂上の偉容を眺めていたら、「あの時チャレンジすれば良かったかなあ」なんて言う思いがふっと頭をかすめました。
 ここからは、木と言えば背の低いシャクナゲかハイマツぐらいしかない所となり、道は滑りやすい岩だらけ(蛇紋岩と言うそうです)の部分と木道階段になっている部分がありました。
この辺りは国土地理院の2万5千分の1の地図のコンターでみると、水平距離100m進んで50m上がる程の急勾配です。角度で言うなら26〜27度と言ったところでしょうか。
 世界一の急勾配と言われるスイスのピラタス鉄道でも勾配は1,000m進んで480m。あり得ない話ではあるけれど、ここにピラタス鉄道のシステムを持ってきてもそのまま出来そうにもない急勾配でありました。
 そこかしこに今が見頃の高山植物が咲き匂うお花畑(と言われているようです)でしたが、タテヤマリンドウ、タカネナデシコ、タカネシュロソウ、タカネシオガマなどを鑑賞する事が出来ました。
 ところが4月に眼を患ったこともあって、ここ3ヶ月の間歩きのトレーニングに熱が入っていなかったので、これまでに経験したことのない事態に向かっておりました。

☆ 内腿の筋肉がつる症状の見え隠れしてちょい休み増ゆ

10:00にはそれでも何とかそれほど遅れないで頂上(2,228m)まで登ることが出来て、早いながらも昼食タイムです。朝食を摂ってから3時間ばかりしか経っていませんので食が進まないという人もありましたが、頑張って舞茸弁当を食べました。今回も、佐竹さんが強力ぶりを発揮して持参し、振る舞ってくれた冷えた缶ビールをご馳走になりながら、参加出来た喜びを噛み締めました(いやビールと共に飲み込んだと言ったほうが良いのかもしれません)。至仏山頂上は狭い所でたくさんの人で賑わっており、記念撮影も一寸大変なほどの混雑ぶりでした。
頂上での集合写真
遠くの山々が結構よく見えましたが、そんな中で日光の男体山(2,484m)と白根山(2,578m)の位置関係について論争をしている方々がありました。どちらが左でどちらが右かと!。昨日歩いてきたのだから自分の方が正しいとか言う人がありましたが、「歩いてきたことで位置関係がわかるのかなあ」と思いつつ、地図で至仏山の頂上から見るとどうなるかを調べてみました。男体山の方が一寸左側になっていますが至仏山から見れば殆ど同方向で、どちらも目線よりも高い。男体山が幾分遠いから100m近く高い白根山の後方となり部分的には白根山の真後ろに近いのかも知れません。このときのご両人が偶然にでもこのHPを訪問されてこの辺りを見て頂けたらなあと考えながら余計なことを書いています。
 10:35小至仏山(2,162m)へ向けて出発ですが頂上までは、下り100mに登り30mと言ったところでしょうか。尾根道ですが右手の方は大分急な傾斜です。
小至仏山山頂の写真
小至仏山山頂
小1時間歩き、11:30小至仏山山頂に立ちました。ここからは下る一方で、10分程休んで鳩待峠に向かって下ります。木道階段のあと少し傾斜が緩くなってきて木道が続きます。道々ミヤマキンポウゲ、チングルマ、オゼソウなどの花に出会い、オヤマ沢田代の湿原のあと12:15に水場に到着し10分間の休憩をとりました。冷たく美味しい水でした。ここでしゃがもうとしたら内腿のつる感じが一層強くなりましたが、ストレッチなどしたら何とか消えてくれました。
 ところが水場を出発して間もなくのこと

☆ 下り道恐れしものが遂に来てやむなく止まるいや止められし
 ☆ リーダーの指導受けつつ対応し漸くにしてつり消えゆきぬ

こんなへまをやって皆さんの足を引き留めてしまいましたが、なんとか痛みも引っ込んでくれました。そのあとではつったことさえ忘れるほどに順調に歩け、鳩待峠には13:40の到着となり、ホット一息つきました。会長、リーダーを始め同行のみなさまにお礼申し上げます。
 この後15:00に鳩待峠を後にして、朝、弁当を受け取った尾瀬高原ホテルで入浴し関越道をひた走って21:00前新宿に到着し、軽くお山祝いをして解散しました。



高原に咲く花へ