地球環境と原子力

日置秀明(昭47学機)

はじめに
 多くの文明が芽生え、栄え、滅びてきた。産業革命以前の地球では、たかだか数億人前後の人々が自然エネルギー、自然農耕業の元で暮らしていた。18世紀以降の化石燃料の活用による産業革命で、爆発的な人口増加、エネルギー需要増加が起こった。エネルギーの元となる資源はその量のみでなく、質が重要である。この観点から、得られるエネルギーを取り出すのに必要なエネルギーとの比であるエネルギー収支比=EPRでの考え方が提唱されている。

地球環境
二酸化炭素国別排出量のグラフ  人口の増加、エネルギー消費量の増加により、地球温暖化が進みつつある。元来、地球史的には氷河期と間氷期が繰り返されてきたが、今回の温暖化はそれを越えるものと捉えられている。この原因は、CO2他の温室効果ガスによるものとされている。これに対応すべく"京都議定書"を定め、地球温暖化対策を講じているが、米国や中国等のCO2の大量放出国が参加していない問題がある。特に、エネルギー起源のCO2放出低減のためには、化石燃料の消費を抑え、再生可能エネルギーや原子力発電を増やす必要がある。

原子力
 原子力発電は1960年代に世界に登場し、期待のエネルギー源として世界に広まった。このため、ウラン資源の枯渇対応として早期から高速増殖炉の開発が行われてきた。1979年の米国のスリーマイルアイランド事故、旧ソ連のチェルノブイリ事故により、世界の原子力発電にブレーキが掛かった。この間、日本では着実な建設・運転を進め世界をリードするまでになってきている。現在(2008年1月時点)、世界の原子力発電所は、435基3億9千万kWが運転中、43基3千9百万kWが建設中、53基4千9百万kWが計画中である。この様に、地球環境問題、エネルギー需要の大幅増加、化石燃料の高騰等から原子力発電への期待が高まっている。これらの動きは「原子力ルネッサンス」と呼ばれている。

ABWRの構造模型図の写真 AP1000の外観写真
ABWR:135万kW                  AP1000:110万kW

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