富士登山

今年の新春に

今年こそあの頂きに参らむと初日に光る不二の嶺見やる

と詠みました。
 富士山登山を八月五日に果たしましたので十六首の歌で報告いたします。

富士登山発つ日の朝の気がかりの 予報雨なり今日も明日も(8/4)

バスはいま浅間神社に立ち寄りぬ 二日の旅の無事祈らむと

本日の登山は五から八合目 九百米に掛ける四時間

八合目白雲荘に辿り着く 中天に見る十三夜月

安全はこんなものかは 客落つる前に手すりを付けて欲しかり

山小屋は旅館に非ず止む無きか 建築基準に適さざるとも

明日早朝出立予定といふものの うるさきことよ中学生ら

一時前空見上ぐれど 夕べみし月は見えずに明星光る (8/5)

真夜中の山見上げても見下げても 灯火つなぐ登山者の列

雲海の果てに出で来し日の光 待ちに待ちたるその時や来ぬ 

正月に誓い立てたるこの登山 来光拝む至福のひととき

お鉢巡り昨日ようやく開通し 運良きことを友とよろこぶ

雲海に聳え立ちたるアルプスの 山並み見事屏風に描きたし

下り道滑りにすべり尻餅をつきたるものの怪我なくてすむ

無事祝ひ河口湖畔のうどん屋で 一風呂浴びてジョッキ干し合ふ

この登山嬉しきことに 雨らしき雨に遭はずに済みにけるかな

やそむ(八十六)


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